ためらいがちな真珠あるいは虹の橋のタラ

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「かたりの椅子」

昨日の土曜日(27日)、シアタードラマシティで上演された「かたりの椅子」を観てきた。
作・演出 永井愛 ということだったので、興味があったのだ。
というのも、何年か前に上演された「歌わせたい男たち」というお芝居が
印象的だったから。
学校の卒業式での国旗(日の丸)掲揚・君が代斉唱問題を扱った作品で、
非常に面白かった。
それも永井愛さんの作で、デリケートな問題をどちらかに偏ることなく、
少し滑稽に表現していた。
今回の「かたりの椅子」は、町おこし・官僚・根回しがキーワード。

地方にある架空の街、かたり市で町おこしのイベントが開かれることになる。
実行委員会が開かれるのだが、
天下り官僚である文化財団の理事長の無難でありきたりな案と、
若手デザイナーの斬新な案があり、
委員たちやプロデュースを任された主人公のりんこ達は、
はじめは斬新なデザイナー案を支持し理事長と戦おうとする。
ところが、ミイラ取りがミイラになったり、板挟みになった下っ端役人が病気になったりと、
どんどん形勢が不利になっていくのだ。
結局は、最後の委員会が始まる・・・という直前で幕が閉じ、
結論は観客に想像させる。
もちろん天下り官僚が悪者っぽくは描かれてはいるが、
正義の味方だったはずの主人公も後半には怪しくなっていく。

貫き通せない人間の弱さや醜さを批判するのは簡単でだが、
果たして自分がその立場だったら・・・
そんな気まずさを感じるファジーな結末に、永井愛の巧みさを感じた。

拳を振り上げて「こうなのよ!これが正しいのよ!」というより、
「考えてみてください」と言っているのだろう。

「歌わせたい男たち」と同じく「かたりの椅子」も見終わって「う~ん・・・」と考えさせられる作品。
そして、最後の場面で主演の竹下景子が大声で怒鳴る場面にビックリ!
あんな声が出るのだ・・と、さすがはプロの女優さんだ~。
あと、照明だけで場面転換をする手法も面白かった~。

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by anuenue_tara | 2010-03-28 19:10 | IMPRESSION☆感動

「なにわバタフライ」

なにわバタフライ・・・なにわの蝶々・・・そうモデルはミヤコ蝶々。

ミヤコ蝶々の演技を見たのはTVの・・・タイトルは忘れたのが、
関西の女性の根性ものドラマ・・・
「損して得取れ」という蝶々のセリフがすごく印象的でだった。

そして、南都雄二との「夫婦ぜんざい」という番組で、
オープニングに二人のトークがあるのだが、
その時の蝶々のツッコミが痛快だったのをおぼろげながら憶えている。

この「なにわバタフライ」を見て、初めてあの二人の立場・・というのがわかり、納得できた。
その頃夫だった南都雄二、実はその前は蝶々(正確に言うとその頃の夫である有名な噺家の・・)
のお弟子さんだったのだ~。

ミヤコ蝶々・・・1920年に生まれる。実は東京生まれ、
4歳で両親が離婚し、父親と共に神戸に移り住む。7
歳の時に父親が旅回りの一座を結成、日本一若い座長として日本中を廻る生活が始まる。

その後、一座を解散して吉本興業に入り、当時の大物噺家と結婚(実は略奪婚)
夫と劇団を作り、台本作りからすべてをこなす。

夫の浮気が原因で、ヒロポン中毒に陥り、入院生活を送る。
その時に支えてくれた夫の弟子(南都雄二)と結婚。
その後は二人で漫才コンビを組み、売れっ子となり、ラジオ・テレビで活躍するようになる。

そして、2度目の夫・南都雄二の浮気が原因で再び離婚。
離婚してもコンビは続け、「夫婦ぜんざい」というTV番組は20年続く長寿番組となる。


1973年、別れた夫・南都雄二が亡くなる。
それ以前から舞台女優として活躍、
紫綬褒章などを授賞するナニワの大女優となっていた蝶々。

2000年、80歳で永眠。
7歳から80歳までの73年の長い芸人人生も幕を閉じた。

そんな「恋に生き、芸(仕事)に生きた」ミヤコ蝶々をモチーフに、
三谷幸喜が戸田恵子のために舞台化したのが「なにわバタフライ」なのだ。

たまたま大阪の古書店で見つけたミヤコ蝶々の自伝「女ひとり」を読んで、
これは面白いと、すぐに戸田恵子にその本を渡して、
ついに戸田恵子のための一人芝居が出来上がった・・・らしい。

2004年に初演、今回は6年ぶりの再演・・となるわけだが、
NV(ニューバージョン)とついているだけに、そのままの再演ではないよう。
私も初演のものを見たいと思いつつ見逃してしまっていたので、
今回との違いはわからないが、初演を観た方でもきっと、NVは新鮮に映ると思う。

さて、「なにわバタフライ」、見どころは・・・小道具。
もちろん一番の見どころは戸田恵子の演技力だが・・それは当然のこととして、
今回は小道具が存在感を発揮している。

舞台の真ん中に大きな風呂敷に包まれた小道具がすでにセットされている。
開幕の合図もなく舞台上手の幕端から戸田恵子が顔だけ出して、
ゆるゆると芝居は始まっていく。
そして戸田恵子自身がその大きな風呂敷をひろげ、小道具たちをセッティング。

装置のセット、前説、すべて戸田恵子一人でこなす。
そして後ろを向いてミヤコ蝶々のトレードマークだった大ぶりのサングラスをかけて、
振り向くともう女優戸田恵子ではなく「なにわバタフライミヤコ蝶々」になっていた。
(ミヤコ蝶々が天から降りてきた・・・という感じ)

そして、ミヤコ蝶々の「恋と芸に生きた」人生が語られていくわけだが、
その中で大活躍するのが・・・小道具たち。

種明かしをしてしまうと、これから見に行かれる方の楽しみがなくなるので、
存在感のある小道具は「写真立て」と「ガムテープ」とだけ言っておこう。
さて、その写真立てとガムテープがどんなことに使われるか・・
うまいな~と感心してしまうこと間違いなし。

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by anuenue_tara | 2010-03-22 19:01 | IMPRESSION☆感動

初武道館に舞い上がるの日

先週の土曜日、東京に行ってきた。
もちろん、桑田佳祐のイベント、「音楽寅さん DVD 上映会」
もう、大阪を出発するときからハプニングがあり、大変。
新大阪でサザ友ちゃんと待ち合わせして、新幹線の中で食べるお弁当を買って、
さあホームに上がろうとしたその時、サザ友ちゃんが「イベントのチケットがない~!」と・・・。
今回のイベントは、ファンクラブ限定、入場チケットと顔写真入りの身分証明が必要。
その大切なチケットがない!・・というので、家に探しに帰るという彼女を見送り、

私は一人で新幹線に乗り、
東京駅で地下鉄東京メトロへの乗り換えに15分も迷い、
関係のない改札に新幹線のチケットを入れてしまい、
チケットが戻らなくなって駅員さんに泣きついてやっと改札を出る事が出来たのだが、
ホテルのある半蔵門駅を上がると、今度は方角がわからなくなり、
やっとたどり着いたホテルでチェックインして部屋に入って着替えしようとしたら、
荷物(スーツケース)を持っていないことに気が付き、
(フロントに置きっぱなしだった)・・とかなり舞い上がっていた~。

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サザンオールスターズ応援団プレゼンツ
「桑田佳祐の音楽寅さんDVD発売記念
    ~DVD未収録映像炎上!これぞ蔵出し巨大上映会@武道館~」

3月13日(土) 東京九段下にあるタマネギ 武道館で行われたの~。
幸運の無料招待チケットに当選した私、参加してきたの~(*^_^*)

初タマネギ、武道館、すごくコンパクト(ちっちゃい)でビックリした。
アーティストの憧れのステージ武道館というイメージだったので、
大きな大きなドーム規模の会場をイメージして行ったから、
あまりのステージの近さに大喜び。

さて、その上映会の中味は・・・とても言葉ではお伝えできない。
下ネタ満載で、さすがにDVDにも収録できなかったという映像ばかり。
ゲストも、音楽寅さんに出演したウッチャンナンチャンのウッチャンと原坊、
そしてこの日はオバマではなくタイガーウッズに扮したノッチ、
そしてそしてAV女優の○○さん・・と桑田佳祐らしい揃え方だったが、
その上映会には桑田佳祐は姿を現さず、進行上は「間違えて東京ドームに行ってしまい、
東京メトロで武道館に向かっている」という設定だった。
なんだかこの日の私とダブって苦笑い・・・。
DVDにも入っていないという映像、この日武道館でしか見られなかったわけで、
ほんとうにレアな上映会だった!

その上映会、最後はビートルズの曲に英語を日本語にむりやり聞こえさせる、
社会風刺風の「空耳シリーズ」が続いたので、さすがのファンも少し疲れてきたところ・・・
なんとそのスクリーンに「重大発表!」という字が躍り、一気に会場はわき上がった。
そして週明けにTV等で発表されたとおり、10月20日ソロアルバムリリース、
それから年末に向けての全国ツアーの日程が発表されたのだった~。
大阪は12月11(土)・12日(日)京セラドーム大阪。

そしてそして、スクリーンの幕が落とされ、予想外のソロライブが始まった!
桑田佳祐・ユースケサンタマリアも登場・・とあったので、
2~3曲笑いやコントを交えながら歌うかな~というのがおおかたのファンの予想だったが、
な、な、なんと13曲!も歌ってくれて、ふつうにソロライブをやってくれた~~!

口にするのもはばかられる下ネタ満載のお馬鹿な上映会のひとときの後だけに、
桑田佳祐の格好良かったこと~~~♪
しかも応援団限定ライブなので、コアな選曲だった♪

ライブ終了後は、大阪のサザンバーE☆SPOTチームと合流し、
サザンのコピーバンドの路上ライブへ・・・
と思ったら、おまわりさんに「路上ライブはダメ」と言われ、
近くのサザンファン経営の居酒屋へ大移動。
その数70~80人くらいだろうか・・・店の中はぎっしりのサザンファンの熱気でムンムン。
サザンファンは礼儀正しいよい子たちばかりなので、
たいした混乱もなく楽しい二次会になった。

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このコピーバンド「風鈴」は結構な実力なのよ。
~そして佳ちゃんと同じくとってもいい人たちだった~。
そんなこんなで、色々なことがあった3月13日、
サザ友ちゃんのドジも私のドジもすべて笑い話になった熱い夜だったのだ~。
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by anuenue_tara | 2010-03-20 17:08 | サザンオールスターズ

「ガブリエル・シャネル」

コメディミュージカル「ガブリエル・シャネル」
3月3日~28日まで 大阪松竹座で上演中
16日に観てきた。

ガブリエル・シャネルが生まれたのは19世紀の末、
女性達はまだ古い時代を生きていた。
少女時代を孤児院で過ごした彼女は、生きるためにお針子として働くうちに
帽子のデザインで頭角を現す。
そして恋人エチエンヌの援助を得て、1909年、パリに帽子店を開く。
その後、アーサー・カペルというイギリス人の資産家男性からの出資により、
新たに店を出し、女性の洋服をデザインするようになる。
それまでの女性はきついコルセットにロングスカートという、およそ働くには窮屈なファッションでだったが、
このころから女性が自分の仕事を持ち始め、
シャネルの活動的な洋服はパリに新しい風をおこす。

ところが、良き理解者、援助者、そして恋人でもあったアーサーが
自動車事故で死んでしまう。

深い悲しみを乗り越えて、シャネルは、友人のミシアという女性の影響で、
パリの社交界での交友関係を広げていく。
その友人達の中には、詩人のジャン・コクトー、作曲家のサティ、
画家のピカソなどたくさんの芸術家がいて、色々な影響を受けたり与えたりしていく。

その後、シャネルは店の従業員達のストがもとで、従業員全員を解雇して、
沈黙の15年と言われる時期に入る。
そして15年後、復活コレクションを発表、「シャネルの復活コレクションは
1930年代の亡霊」と酷評されてしまうが、そのシャネル・ファッションを
熱狂的に受け入れたのがアメリカの女性達。
アメリカの女性達が求めたのはビジネスの場面にもフォーマルな場面にも対応できる
合理的でシックなシャネルのファッションだったのだ。

19世紀に生まれ、20世紀にファッションの革命を起こしたガブリエル・シャネル、
いつも前に向かって歩き続けた女性、21世紀の現在も彼女のオーラは消えていない。

そんなシャネルの生涯を描いたのが、今回の「ガブリエル・シャネル」という作品。

私のイチオシの見どころは、主役・大地真央の演じる12歳のシャネル。
大地真央・・現在のお歳は・・大きな声では言えないが50歳を少し過ぎたところか?
その彼女が、お芝居の中盤、不幸な少女時代、12歳のシャネルも演じるのだが~~~
とっても可愛い。どこから見ても少女。
クルクルの巻き毛に、エプロンドレス、仕草もダンスも、ちょっと下品なしゃべり方も、
とってもナイス!お人形のようでだった。

そして、シャネルのお話なので、登場するファッションも洗練されていて、
大地真央が素敵に着こなしていた。女性にとってはそういうところも見逃せない。

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by anuenue_tara | 2010-03-18 18:53 | IMPRESSION☆感動

ジョン・ガブリエルと呼ばれた男

兵庫県立芸術文化センターで上演された「ジョン・ガブリエルと呼ばれた男」
を観てきた。
6日の土曜日2時からの公演。
出演:主人公 ジョン・ガブリエル・ボルクマン 仲代達矢
       その妻 グンヒル        大空真弓
       妻の双子の妹 エルラ      十朱幸代
       ボルクマンの友人        米倉まさかね

登場人物はこの4人だけ・・というとてもシンプルなお芝居。
しかしそれぞれの個性は強烈で、とっても濃厚なお芝居だった。

原作:イプセン
ノルウェーの劇作家 シェイクスピア以後、世界で最も盛んに上演されている劇作家。
誰でも聞いたことのある代表作として「人形の家」がある。
ある出来事から 夫から一人の対等な人間として見て貰えていない事実に気づき
家を出るノラという女性が主人公の物語 
フェミニズムを語るときによく引き合いに出される「女性の目覚め」を扱った作品。
日本でも、新劇と呼ばれるジャンルではこのイプセンの作品がよく上演されている
「社会派」劇作家の代表といわれているらしい。

演出:栗山民也
お芝居を見るとき、出演者に気を取られて、演出家の名前にはあまり目がいかない。
・・が、この栗山民也という演出家の名前はよく目にする。
現在、日本で最も活躍している演出家のひとりではないだろうか。
小劇場から大劇場まで、ジャンルもストレートプレイからミュージカルまで
幅広く活躍、演劇賞もたくさん受賞している。

物語は・・・
炭坑夫を父に持つたたき上げの実業家ボルクマンと、
名家の生まれで美貌と才気に恵まれたエルラが出会い恋に落ちるのだが、
結婚も間近という時に、突然ボルクマンはエルラの双子の姉グンヒルと結婚してしまう。

その裏にはボルクマンとヒルケンという弁護士の取引があったのだ。
エルラを手に入れたかったヒルケンは、銀行の頭取という座を餌に
ボルクマンにエルラをあきらめさせ、その姉グンヒルと結婚させる。
ボルクマンから捨てられたエルラは、しかしヒルケンの求婚には応じない。
業を煮やしたヒルケンは腹いせにボルクマンを告発し頭取の座から引きずり下ろし、
ボルクマンは服役する。

ボルクマンが服役している間、
エルラはボルクマンとグンヒルの間に出来た息子エルハルトを引き取り育てる。
エルラはボルクマンとヒルケンとの間の裏取引は知らないわけで、
自分の姉と突然結婚した恋人ボルクマンへの憎しみより、
恋人の面影のあるエルハルトを育てることで
実らなかった愛を再び手に入れたような気になったのだろう。

そして何年かが過ぎ、ボルクマンが出所、エルハルトは実の母親グンヒルに再び引き取られ、
屋敷の2階にボルクマン、そして1階にグンヒルとエルハルトが住むという、
家族でありながらグンヒルの強い憎しみによって夫婦が一切接触せず、
ひとつ屋根の下で暮らして8年の月日が過ぎていった。

さて・・・舞台の幕が上がるのは、そこからなのだ。

赤と黒の重々しいコントラストで表された、グンヒルの居間。
幕が上がると上手に姉のグンヒルが苦々しく強い憎しみを表した顔で立っている。
そして中央の入り口には冷静な表情の妹エルラが立っている。

25年ほど前にボルクマンという男を取り合ったこの双子の姉妹が、
今度はその愛する男の息子エルハルト(もう20歳になっている)をめぐって争っていく。
エルラは病気になりふたたびエルハルトと暮らしたいと思っているのだ。

大空真弓の演じる姉グンヒル、全ての言葉に刺があり、ものすごい貫禄。
そして、強いけれど、かつて二人の男から愛された魅力ある女性エルラの十朱幸代には
女性らしさがたっぷりあった。
この二人の言葉のバトルに観客は冒頭から強い愛と憎しみを感じさせられる。

そして場面が変わって2階で繰り広げられる、主人公ボルクマンと友人フォルダルの会話。
こちらは夢もありユーモアもあり、少しホッとさせられる。

この二つの場面から先ほどの過去の話がわかってくるのだが、
最後の場面では、姉妹が取り合った息子エルハルトは他の女性に奪われ、
かつて奪い合った男ボルクマンが死に、
もう奪い合うものがなくなった姉妹グンヒルとエルラは・・・・なんと・・
・仲直りをして手を繋いで・・幕が降りる・・・そんなお話。

恐い恐い大空真弓、強くて優しい十朱幸代、
奈落の底に落ちてもまた這い上がりたいという夢を持つボルクマン、
そして深い寂しさを感じながらボルクマンに寄り添う癒し系のフォルダル・・・
演技力では申し分のない4人の俳優達。お腹にずっしりこたえるお芝居。

楽しいエンターテイメント系のお芝居やミュージカルもいいけれど、
こんな重い新劇も見ごたえという部分では負けていない~。

良いお芝居だった。

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by anuenue_tara | 2010-03-07 16:54 | IMPRESSION☆感動