ためらいがちな真珠あるいは虹の橋のタラ

カテゴリ:IMPRESSION☆感動( 49 )

ジョン・ガブリエルと呼ばれた男

兵庫県立芸術文化センターで上演された「ジョン・ガブリエルと呼ばれた男」
を観てきた。
6日の土曜日2時からの公演。
出演:主人公 ジョン・ガブリエル・ボルクマン 仲代達矢
       その妻 グンヒル        大空真弓
       妻の双子の妹 エルラ      十朱幸代
       ボルクマンの友人        米倉まさかね

登場人物はこの4人だけ・・というとてもシンプルなお芝居。
しかしそれぞれの個性は強烈で、とっても濃厚なお芝居だった。

原作:イプセン
ノルウェーの劇作家 シェイクスピア以後、世界で最も盛んに上演されている劇作家。
誰でも聞いたことのある代表作として「人形の家」がある。
ある出来事から 夫から一人の対等な人間として見て貰えていない事実に気づき
家を出るノラという女性が主人公の物語 
フェミニズムを語るときによく引き合いに出される「女性の目覚め」を扱った作品。
日本でも、新劇と呼ばれるジャンルではこのイプセンの作品がよく上演されている
「社会派」劇作家の代表といわれているらしい。

演出:栗山民也
お芝居を見るとき、出演者に気を取られて、演出家の名前にはあまり目がいかない。
・・が、この栗山民也という演出家の名前はよく目にする。
現在、日本で最も活躍している演出家のひとりではないだろうか。
小劇場から大劇場まで、ジャンルもストレートプレイからミュージカルまで
幅広く活躍、演劇賞もたくさん受賞している。

物語は・・・
炭坑夫を父に持つたたき上げの実業家ボルクマンと、
名家の生まれで美貌と才気に恵まれたエルラが出会い恋に落ちるのだが、
結婚も間近という時に、突然ボルクマンはエルラの双子の姉グンヒルと結婚してしまう。

その裏にはボルクマンとヒルケンという弁護士の取引があったのだ。
エルラを手に入れたかったヒルケンは、銀行の頭取という座を餌に
ボルクマンにエルラをあきらめさせ、その姉グンヒルと結婚させる。
ボルクマンから捨てられたエルラは、しかしヒルケンの求婚には応じない。
業を煮やしたヒルケンは腹いせにボルクマンを告発し頭取の座から引きずり下ろし、
ボルクマンは服役する。

ボルクマンが服役している間、
エルラはボルクマンとグンヒルの間に出来た息子エルハルトを引き取り育てる。
エルラはボルクマンとヒルケンとの間の裏取引は知らないわけで、
自分の姉と突然結婚した恋人ボルクマンへの憎しみより、
恋人の面影のあるエルハルトを育てることで
実らなかった愛を再び手に入れたような気になったのだろう。

そして何年かが過ぎ、ボルクマンが出所、エルハルトは実の母親グンヒルに再び引き取られ、
屋敷の2階にボルクマン、そして1階にグンヒルとエルハルトが住むという、
家族でありながらグンヒルの強い憎しみによって夫婦が一切接触せず、
ひとつ屋根の下で暮らして8年の月日が過ぎていった。

さて・・・舞台の幕が上がるのは、そこからなのだ。

赤と黒の重々しいコントラストで表された、グンヒルの居間。
幕が上がると上手に姉のグンヒルが苦々しく強い憎しみを表した顔で立っている。
そして中央の入り口には冷静な表情の妹エルラが立っている。

25年ほど前にボルクマンという男を取り合ったこの双子の姉妹が、
今度はその愛する男の息子エルハルト(もう20歳になっている)をめぐって争っていく。
エルラは病気になりふたたびエルハルトと暮らしたいと思っているのだ。

大空真弓の演じる姉グンヒル、全ての言葉に刺があり、ものすごい貫禄。
そして、強いけれど、かつて二人の男から愛された魅力ある女性エルラの十朱幸代には
女性らしさがたっぷりあった。
この二人の言葉のバトルに観客は冒頭から強い愛と憎しみを感じさせられる。

そして場面が変わって2階で繰り広げられる、主人公ボルクマンと友人フォルダルの会話。
こちらは夢もありユーモアもあり、少しホッとさせられる。

この二つの場面から先ほどの過去の話がわかってくるのだが、
最後の場面では、姉妹が取り合った息子エルハルトは他の女性に奪われ、
かつて奪い合った男ボルクマンが死に、
もう奪い合うものがなくなった姉妹グンヒルとエルラは・・・・なんと・・
・仲直りをして手を繋いで・・幕が降りる・・・そんなお話。

恐い恐い大空真弓、強くて優しい十朱幸代、
奈落の底に落ちてもまた這い上がりたいという夢を持つボルクマン、
そして深い寂しさを感じながらボルクマンに寄り添う癒し系のフォルダル・・・
演技力では申し分のない4人の俳優達。お腹にずっしりこたえるお芝居。

楽しいエンターテイメント系のお芝居やミュージカルもいいけれど、
こんな重い新劇も見ごたえという部分では負けていない~。

良いお芝居だった。

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by anuenue_tara | 2010-03-07 16:54 | IMPRESSION☆感動

ミス・ダンデライオン

昨日、演劇集団「キャラメルボックス ハーフタイムシアター・ダブルフィーチャー
「クロノスジョウンターの伝説」を観てきた。
ハーフタイムシアターというのは、1時間の作品を2本上演する
キャラメルボックスならではの企画。
どちらか1本だけでも観劇できます・・という時間のない人にも楽しめる企画。

今回は「クロノスジョウンター」という物質を過去へ飛ばす・・
つまりはタイムマシーンのような機械が鍵になる。
過去の行きたい時間・場所へ行けるが、一定の時間がたつと、
弓の弦がはじかれるように元いた時間よりもっと未来へはじき飛ばされてしまう・・・
という特徴があるのだ。
つまり今からクロノスに乗って過去に行ったら、もう今には戻れない・・
現在より先の未来に飛ばされてしまう・・という、
かなりの勇気と覚悟がないとその機械には乗れない・・行動を起こせない・・
そんな機械をめぐる愛のお話。

さてそのクロノスジョウンターに乗って主人公が過去に飛ぶお話二つが
今回のキャラメルボックスの公演。
そのうちのひとつ「ミス・ダンデライオン」をご紹介。

ストーリーは・・・
鈴谷樹里という女性が主人公。彼女は医師。
11歳の頃、小児結核で入院生活を経験している。
その同じ病院に入院していた青木ヒロシという作家志望の青年と親しくなる。
樹里はその青年を「ヒー兄ちゃん」と言って慕い、いろんなお話を聞かせて貰っていた。
その中で鍵となるのは、アメリカのSF作家ロバート・F・ヤングの「タンポポ娘」というお話。
そこからこのお芝居のタイトル「ミス・ダンデライオン」がつけられたのだ。

でもそのヒー兄ちゃんは、難病のために死んでしまう。

19年後、樹里は医師として同じ病院に勤務しているが、ある日ひょんな事から、
ヒー兄ちゃんの命を奪った難病に効く特効薬を手に入れる。
その薬が19年前にあればヒー兄ちゃんは死なずにすんだのだ。
ヒー兄ちゃんの命を救うため、樹里はその薬を持ってクロノスに乗り込み
19年前の過去へと飛ぶ。
さぁ、ヒー兄ちゃんの命は救えるのか、そして樹里はどの時間に戻るのか、
ラストには感動的で意外な再会が待っている。

梶尾信治の小説「クロノスジョウンターの伝説」をもとに、
キャラメルボックスがシリーズで上演しているクロノスシリーズ・・
この「ミス・ダンデライオン」、そして今回上演されるもう一つの作品
「サザンクロス駅で」を入れて、全部で5作品。
愛する人・大切な人のために、自分の今の生活を投げ捨てて過去へ飛んで行く・・・
過去から帰ってくるときは、今から数年後数十年後になってしまう。
しかも過去を変えてしまったので、未来も変わっている・・・。

しかし・・どの作品も結末はハートウォーミング。
人を救うために自分を犠牲にした主人公は神様から素敵な再会のプレゼントを受け取る。
だから後味がすごくいいのだ~。

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by anuenue_tara | 2010-02-20 16:43 | IMPRESSION☆感動

文珍ちゃん

私が落語家・・というのを意識したのは、高校生の頃。
「ヤングおーおー」という人気TV番組があり(日清のカップラーメンがスポンサー)、
その番組の中で「ザ・パンダ」という落語家ユニット、
メンバーは月亭八方・桂きん枝・桂文珍・林家小染などがいたと思う。
といっても、彼らの落語はほとんど聴いたことがなかったけれど・・・

その「ザ・パンダ」の一人、桂文珍の独演会に吹田のメイシアターまで行ってきた。
前座が弟子の楽珍、間に三味線を弾きながらおしゃべりする女性をはさんで、
文珍の落語を3つ聴いてきた。

あの頃20代の若手落語家だった文珍さんも、いまや60歳を過ぎた初老の名落語家。
関西大学の非常勤講師をつとめたり、ニュース番組の司会をしたりと・・
「知的」な匂いのする落語家さん。

お囃子と共にフラフラと出てきて、小さな声で(枕噺?)つぶやき始めるのだが、
観客は聞き取りにくいので必死で聴く。
必死で聞いて、クスクス笑いがだんだん爆笑になってきたころ、
会場の雰囲気が温まった頃におもむろに羽織を脱いで本噺にはいっていく・・という、
これって笑いのウォーミングアップとでもいうのでしょうか~?

3つの話のうち最後の・・題名を忘れてしまったけれど、
ちょっと、とぼけた人が町中で黒山の人だかりを見つけ、
のぞいてみると人が倒れている、「どないしたんでっか?」「行き倒れですわ」
「生きてますの?」「いやもう死んでます」「そんなら死に倒れですがな」
・・と一事が万事こんな調子で、最後には、この行き倒れの顔を見て自分の友人だとわかり、
本人に遺体を引き取らせます~と訳のわからないことを言い始め、
本当に死んだ本人を連れてきて遺体を引き取らせるのだが、
その本人が最後に、「ここで死んでいるのが私なら、、引き取りにきた私は一体誰?」
という不思議な結末になるお話。
登場人物だけでなく客席まで不思議ワールドに巻き込んでしまう面白い話だった。


2時間半の間、私の後ろにいたおばあちゃん二人が笑うこと笑うこと。
時々、呼吸困難になるのでは~と思うほど、身をよじって笑ってたけれど、
笑うって身体にいいそう。笑うことによって免疫力がたかまるそうで、
どちらかというと、うしろのお婆ちゃん達、「今日は笑ってやるぞ~」という
意気込みが感じられる笑いを繰り返していた。(見習いたいと思います。)
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by anuenue_tara | 2010-02-09 22:33 | IMPRESSION☆感動

「按針~イングリッシュサムライ~」

日英共同プロジェクト「按針~イングリッシュサムライ~」
1月22日から31日まで シアタードラマシティで上演中

シェイクスピアの時代のイギリスと、徳川家康の時代の日本を股にかけた
ウィリアム・アダムス(日本名を三浦按針)はイギリス人の船乗り。
のちに日本史上ただ一人の青い目のサムライとなる。
その激動の人生と徳川家康・宣教師・戦国武将たち・外国人商人たちが織りなす
大歴史劇・・・

~ストーリー~
エリザベス女王の時代、イギリス人船乗りのウィリアム・アダムスは
オランダの船リーフデ号で嵐に見舞われ日本に漂着。
彼の乗っていたリーフデ号という船には大砲や鉄砲などの武器が大量に積み込まれていた。

その頃、日本は戦国時代の終わり。
豊臣秀吉が亡くなり、徳川家康の力がぐんぐん大きくなっていた頃。
家康は漂着したアダムス達外国人を生かすも殺すも自由自在。
通訳を通してアダムス達が敵か敵ではないのかを判断するわけだが、
その通訳とは・・日本でキリスト教の布教活動をしている
スペイン・ポルトガルのイエズス会の宣教師達。
その頃のイギリス・オランダとスペイン・ポルトガルというのは
同じキリスト教でもプロテスタントとカトリックという宗派の違いからいがみ合っていたので、
イエズス会の宣教師達は邪魔なアダムス達が処刑されるようでたらめの通訳をする。
ところがそのイエズス会には日本人の宣教師ドメニコという人がいて、
家康の前で正確に通訳をし、アダムス達の命は助かる。

そして家康は、そのアダムス達の船に積まれていた武器を使って
関ヶ原の戦いで勝利し天下人となる。
天下人となったその後も家康はアダムスを側から離さず、
算術や天文学など西洋の学問の吸収に励んでいく。
というのも家康は生まれてから一度も日本から出たことがなく世界を知らなかったから・・・


一方、アダムスも日本人宣教師のドメニコの助けを借りて日本の文化を学ぶが
やはりイギリスへの望郷の念は絶ちがたい。
何故なら・・・母国のイギリスに妻や子どもを残してきているから。

しかし、家康はアダムスの帰国を許可しないばかりか、日本での妻をめとることを命じ、
三浦地方(現在の横須賀)の領地を与え「三浦按針」という日本名も与え、
アダムスは史上初の青い目のサムライとなる。按針というのは船乗りという意味がある。

そして按針(アダムス)が日本に漂着してから10年以上の月日が流れ、
彼には妻と二人の子どもという日本での家族ができていた。
そんなある日、日本にイギリスからの商船が到着。
按針(アダムス)が祖国イギリスに帰れるチャンスがきた!

その頃の家康は、豊臣家を壊滅させ、将軍の座を息子の秀忠に譲り、
穏やかに余生を送りつつあり、アダムスに「帰国しても良い」と言う。

さて、按針はイギリスに帰ることになるのか・・・・

見どころは何と言っても、主役の按針(ウィリアム・アダムス)を
トニー賞の授賞経験もあるイギリスの一流俳優が演じていることと、
その他何人ものイギリス人俳優が参加していて、
そしてその舞台は日本語と英語が飛び交うリアルな空間・・・ということ。
特に、通訳を通して話をすることのもどかしさ、言葉が通じないことへの不安と絶望など、
とてもリアルに感じた。
これは、日本人が金髪のカツラをかぶって演じるのでは感じられないリアル感。

さて、英語のわかるお客さんはいいが、私のように英語がチンプンカンプンの人には・・・・
「字幕」があるので、どうぞご安心を~。

そのトニー賞受賞経験もあるという、按針役のオーウェン・ティール、
演技はもちろん素晴らしく、日本に漂着したときのパニック状態から、
家康に寵愛されてだんだん青い目の侍として日本人らしくなっていく過程を
見事に演じている。
そして、その姿が格好いい!癖のある髪をまとめて、袴姿で刀を腰に差し、
最初の頃は女性のように横座りしていたのが、
最後にはきれいなお辞儀ができるようになっていく。
特に感動したのは、イギリスの船がやってきて、
自分も母国に帰ることができるかもしれないという時、
そのやってきたイギリス人達と会う場面では、
「あ・・この人はもう完璧な日本人になってしまった」と感じさせられること。
この瞬間に観客には結末が見えると思う。


このお芝居に流れているもののひとつに、「孤独」というものがある。
戦国時代を勝ち抜き、将軍となった家康の「孤独」・・・
幼い頃から人質に取られたり、戦国の時代を生き抜くために我が子を切腹させたり、
戦国大名達を裏切ったり裏切られたり・・という背景が晩年の家康に大きな孤独をもたらし、
またその家康に寵愛された按針にも、見知らぬ国での孤独、
イギリス人でもない日本人でもない「自分は何ものなのか」という孤独、
そして家康の死後、一人残された孤独・・・がひしひしと感じられます。


そして、私の個人的「鼻ツーン」場面。
豊臣秀頼の息子国松に家康が諭すシーン。これは鼻にツーン・・泣きそうになった。
「おまえは素晴らしい子どもだが、豊臣という名がこの世にあると
また日本はその名前を利用して戦を起こす奴が現れる。
日本の平和のために立派に死んでくれ」と手を取ってさとす・・・
国松というのは豊臣秀吉の孫でもあるが家康のひ孫でもある。
幼い国松は家康の話をしっかり理解して見事に処刑される・・
・平和を願う家康の辛い心と国松のけなげな姿に感動。

今年も年始から素敵な舞台に出会えてしあわせ~☆

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by anuenue_tara | 2010-01-23 16:01 | IMPRESSION☆感動

ミュージカル「パイレート・クィーン」

2010年最初の観劇は、ミュージカル「パイレート・クィーン」。
1月1日~11日まで梅田芸術劇場で上演中。

スペクタクル・ミュージカル・アドベンチャー「パイレート・クィーン」は
アイルランドの歴史に名を残した類まれなる女性グレイス・オマリーの物語。

女性が船乗りになることなど許されなかった時代、彼女は実力で海賊船の船長となり、
当時のイングランドの王エリザベス一世と堂々と渡り合い
祖国アイルランドの運命について意見を交わした女性として、
数百年後の今も生き生きと語り継がれているそうだ。

舞台でも主人公グレースとエリザベス一世の会談のシーンが物語の要の一つとなっている。
血を流して戦い、騙し騙されて勝利を獲得することに躍起になっている男性たちを尻目に、
お互い心を開いて祖国やそこに住む人々のことを語り合い、理解し合って、
戦いをやめる決断を下すことが賢い女性の選択だった。

~ストーリー~
16世紀、アイルランドは隣国イングランドの属州となり各部族の争いが続いていた。
グレイス・オマリーはオマリー一族の族長の娘で
「船乗り」になることを夢見るおてんばな女性。
「女が船に乗ることは許されない」時代ではあったが、熱意と実力を認められ、
「海賊の女王」と呼ばれ、活躍する。

一方イングランドには正真正銘の女王、エリザベス一世が誕生していた。
エリザベスからアイルランドの完全征服の使命を受けて、
臣下のビンガム卿はアイルランドに向かう。

そんな中、アイルランドでは、イングランドに対抗するため、
オマリー一族とオフハラティー一族が政略結婚を計画。
オマリーの娘グレイスとオフハラティーの息子ドーナルを結婚させて、
国内での部族の和をはかり力をつけようということ。

グレースには心に決めた恋人ティアナンがいたが、
祖国のためその恋をあきらめ政略結婚に従う。
そして心やぶれた恋人ティアナンは、それでも臣下としてグレイスを一生守っていこうと決意。

結婚によってグレイスは男の子を出産。その直後イングランドとの戦いが始まる・・・・
一時は勝利を収めるが、夫ドーナルの裏切りによって
グレイスはイングランドに囚われてしまう・・・

「パイレート・クィーン」の見どころ
①「アイリッシュダンス」
上半身はほとんど動かさず下半身のステップだけで(タップダンスに似たステップ)踊る、
素朴で躍動的なダンスが随所で披露される。
このアイリッシュダンスの振り付けは、かの有名な「リバーダンス」世界ツアーに
8年間関わったという キャロル・リーヴィ・ジョイス が担当 。
そして本場アイルランドやイギリスから本物のアイリッシュダンサーが
何人か参加しているので本格的アイリッシュダンスが披露さる。
見ているだけで心が躍り出すような素晴らしいダンスが何度も見られる~
これが最大の見どころと言えるだろう。

②対照的な二人の女性
「パイレート・クィーン:海賊の女王」グレイスと、「イングランドの女王」エリザベス一世。
イングランドからは未開の地とされていたアイルランドに生まれ船乗りとなった
お転婆娘グレイスとイングランドの女王に即位したエリザベス、すべてが対照的。
グレイスは結婚をして子供を産み、そして結婚が破綻しても陰で支えてくれる恋人がいる。
一方、エリザベスは権力はあるものの、独身で恋人と呼べる人もいない。
物語の後半でこの事実がエリザベスの決断に影響を与える。
よく「女の敵は女」とよく言われ、立場や環境の違う女性同士の対立はよく話題になるが、
この対照的な二人グレイスとエリザベスは、最後には心を開きあい賢い選択をする。

③衣装の美しさ
海賊グレイスを保坂知寿、エリザベス女王は涼風真世が演じている。
グレイスの衣装は「海賊」だから・・綿や麻のドレス・皮の外套・船乗りのパンツ姿など
質素で地味なものが使われている。
一方エリザベスは「本物の女王」なので、絹やベルベットのドレス、
ベースカラーは、金・赤・黒と非常にゴージャスなものが使われている。
女性の私としては、衣装的には涼風真世演じるエリザベス一世にうっとり・・・

④歌声
ほとんどすべての台詞が歌で表されている。まるでオペラのよう。
キャストが素晴らしい歌声を披露、なかでもやはり二人の女王の歌声は印象的。
劇団四季で主役を何度も務めた保坂知寿、元宝塚の涼風真世、
それぞれの個性を最大限に発揮。特に涼風真世の高音は素晴らしい。聴き惚れてしまう。

そのほか、絵本をめくるようにスピーディに進むストーリー、
躍動的な海賊船と豪華なエリザベスの城の「動」と「静」の切り替えの巧みさ・・
そして、生のオーケストラ演奏など、見どころ満載!
お正月にふさわしい華やかなステージだ。

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by anuenue_tara | 2010-01-09 15:44 | IMPRESSION☆感動

「海をゆく者」

アイルランドの演劇界をリードする劇作家コナー・マクファーソンという人の作品で、
2006年にロンドンで初演、ローレンス・オリビエ賞にノミネート、
2007年のブロードウェイでもトニー賞にノミネート・・という傑作ストレートプレイ「海をゆく者」。

今回の日本での上演は、栗山民也演出、
出演は 小日向文世・吉田鋼太郎・浅野和之・大谷亮介・平田満
という実力派「百戦錬磨の男優5人」。1
1月に東京で初演、今週の大阪公演の後は新潟と名古屋で上演される。

演じる5人の俳優・・・
小日向文世と平田満以外の3人のかたは名前だけではパッと顔が浮かばないが、
パンフレットを見ると「あ~~」と納得の、テレビや映画、舞台で活躍されている方達。

事前に手にしたチラシには、
イヴの夜、毎年恒例のポーカーゲーム、つり上げられたレート、降りられないゲーム、
果たして神は誰に微笑むのか・・・とある。
緊張した場面が続く心理劇・・を想像していたが、意外にもテンポ良く進むストーリーと、
個性的な登場人物たちに引き込まれていく。

舞台はアイルランド・ダブリン北部の海沿いの町。
古びた家に若くない兄弟が二人で暮らしている。
兄は最近、目が不自由になり、弟が兄の世話をするために戻ってきているのだ。
兄も弟も大酒飲み。特に酒癖の悪い弟は(過去に何かあったのか)酒を断っている。
クリスマスの夜、兄弟のポーカー仲間がある男を連れて来る。
その男は弟が最も会いたくない、会ってはいけない・・・弟の過去を知っている男だった。
そして男達のポーカーが始まる。

朝から大酒を飲む盲目の兄(吉田鋼太郎)。
酒癖が悪いため禁酒中の弟(平田満)。
妻のお尻に敷かれている気の弱い友人(浅野和之)。
弟の元の恋人と付き合っている男(大谷亮介)と、
その男が連れてきた見知らぬ男(小日向文世・実は弟の過去を知っている)。

5人が5人とも酔っぱらっている(平田満演じる弟は後半に禁酒を破りガブガブ飲んでしまう)
という、もしかしたら収集不可能な展開になるのでは~という感じなのだが、
5人とも上手い!ので、どうしようもない酔っぱらいなんだけれども、
その胸の奥には人生のモヤモヤがいっぱい詰まっている・・という、
情けないような、せつないような、可笑しいような、愛おしいような不思議な気持ちになる。

とにかく台詞がたくさんあって、
特に兄役の吉田鋼太郎と見知らぬ男役の小日向文世はがんがん喋る。
兄は酔っぱらって支離滅裂なことをわめき、
見知らぬ男は酔っぱらいながらも紳士的に・・
でも弟と二人きりになると悪魔のように声も表情も変わるので不気味。

イブの夜に、酔っぱらいのおじさん達がポーカーを始める。
掛け金がどんどん大きくなって・・・結末は・・・
お芝居が終わって開場を後にするエスカレーターで聞こえた女性の
「なんだかハートフルな舞台だったね」という言葉が印象的だった。
私も物語の展開はともかく、「愛すべき酔っぱらい達のクリスマスイブ」
を楽しませてもらったという気持ちになり、
けっこう暗いストーリーや設定なのに爽快な気持ちで開場を後にした。

そして、今年の春に観た「ドライビング・ミス・デイジー」に通じる
「これぞ演劇!」というハイレベルな演技に魅了された。
出ているのは酔っぱらいばかりながら、上質の舞台だと思う。

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by anuenue_tara | 2009-12-12 15:22 | IMPRESSION☆感動

劇団☆新感線「蛮幽鬼」

昔々、鳳来という国から、おとつのからまろ・きのうきな・きょうがねしらべ、
そして、伊達土門という4人の若者が、カダという国の文化や宗教などを学びに
海を渡って留学。
それは自分たちの国「鳳来国」の国作りのための勉強。
何年かの留学期間を終え、まもなく帰国という流れ星の見事な夜、
留学生の一人「しらべ」が何者かに殺されてしまう
(「しらべ」というのは土門の恋人美古都の兄)。
からまろとうきなの嘘の証言で、土門が犯人に仕立て上げられ、監獄島に流されてしまう。

冒頭のシーンから、からまろとうきなに大志はなく、
しらべと土門には「未来の鳳来国」を担っていくという、
大きな夢や覚悟があることが伝わってくる。

緞帳(幕)、開幕までは「蛮憂記」と書かれているが、
このプロローグ部分のシーンが終わると「蛮幽鬼」という字に変わる。
上川隆也演じる土門の「私はやっていない」という叫びの後、
題字が変わることで、主人公の悔しさや恨みが観客の心に刻み込まれる。

10年の月日が過ぎ、監獄島の囚人サジという男の導きで脱獄を果たした土門は、
サジや囚人仲間のペナンという女性と共に再び海を渡り、
自分を陥れた者達への復讐のため、祖国鳳来国に帰国。

鳳来国では、土門を陥れたからまろとうきなの二人が国の権力者となり、
恋人であった美古都は国の王「大君」の妃になっていた。
土門は自分を陥れた友人達が権力を握り、元の恋人は他の人と結婚していたという事実に、
大きな衝撃を受け、復讐をあらためて強く誓う。

からまろとうきなの二人が説く「蛮教」という宗教に対して
「蛮しん教」の教主として土門は都に現れ、そしていよいよ復讐劇が始まるのだが、
どうやら土門を陥れたのは、からまろとうきなだけの仕業ではなく、影で操った人物がいる・・
そしてその人物もなにか得体の知れない大きな陰謀に繰られていた・・
というドラマティック過ぎるストーリー。


アレクサンドル・デュマの「モンテ・クリスト伯」をベースに、
中島かずき作、いのうえひでのり演出という「蛮幽鬼」。
このコンビの特徴は「少年漫画的冒険活劇」。
それにプラスして人間ドラマが織り交ぜられていて、
ただ面白いだけではない「何か」を心に残してくれる。

未来ある留学生達の会話のあとに突然起こった殺人、
そしておどろおどろしい監獄島の場面、鳳来国の堕落したありさま、
復讐心のすさまじさ、「このさきどうなるのだろう~」という
観客の緊張を時々溶かしてくれる新感線お得意の「笑い」、
殺陣の迫力と美しさ、見ごたえたっぷりだった。

回り舞台を生かし切った場面転換。合計何回転したの~?と思うほど
場面転換のたびに舞台がクルクル回るのでスピード感と連続感がありる。
そして客席にもどんどん出演者が降りてきて踊ったり歌ったり走ったり。

そして笑い・・重いテーマを新感線独特のこってり笑いで時々ほぐしてくれる。
アドリブもあり、私が観た日はちょうど上演中にあの「市橋容疑者」が逮捕され、
2幕目の冒頭で 悪役の橋本じゅんが「あの男も南港で捕まったし~」なんて
アドリブを入れていた。20分の幕間にニュース見てたのね~。(余裕~)

あとは殺陣(チャンバラ)。堺雅人はずーっと笑顔でひらひらと人を殺していくし、
上川隆也の殺陣は力強く格好いい!
そして最高なのが早乙女太一くん。美しすぎる刀さばき。
観ていてうっとりさせられる優雅な殺陣だった。
弱冠18歳ということだが、その美しさは小さい頃からの舞台で磨き上げられた彼の宝物。

その殺陣、いつものように斬り合うシーンが長すぎるようにも感じるが、
逆にその長すぎる殺し合いが観客に「争いごとのむなしさ」を伝えているのかもしれない。

そして私自身は、昔愛し合っていた土門と美古都が対決するシーンが心に残った。
冒頭の事件がなければ夫婦となり穏やかな家庭を築き、
国づくりに協力し合えたであろう二人が敵対し、最後の最後に・・・
このあとは書けないが、なぜか久々に胸が高鳴りせつない気持ちになった。

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by anuenue_tara | 2009-11-10 23:00 | IMPRESSION☆感動

笑福亭鶴瓶 JAPAN TOUR 2009

鶴瓶が落語に目覚めたらしい(笑)
パペポTVやキラキラアフロ、家族に乾杯・・などで人なつこい話術を繰って人気者の鶴瓶。
本格的に落語をしているのを初めて観た。
11月5日シアターBRAVA!で、この日のゲストは桂南光。
南光が「素人浄瑠璃」
鶴瓶が「駱駝」

さすがに南光は安心の芸。そして楽しい文句なしの笑い。
鶴瓶はちょっと滑舌が悪く聴き取れないところもあり。でも話自体が面白いので満足。

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関東弁ちゃきちゃきの落語より、やはり関西人には上方落語。
言葉のニュアンスも大切な笑いの要素だと思う。
今まで落語に馴染めなかったのは関東の落語を聴いていたからかもしれない。
(ちゃんとは聴いてないけど・・)
ちょっとハマりそうな予感♪
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by anuenue_tara | 2009-11-08 13:22 | IMPRESSION☆感動

劇団四季ミュージカル「ウィキッド」

10月9日、劇団四季のミュージカル「ウィキッド」のプレ公演に出かけた。
正直言って、「オズの魔法使い」関連の物語と聞いていたので
さほど興味はなかった。
ところが、事前に貰ったチラシをよく読んでみると、
「悪い魔女・賢いが気性の激しいため誤解されやすいエルファバ」と
「善い魔女・美しく野心家で人気者グリンダ」の友情の物語
らしいことがわかり、俄然興味が沸いた。
私はいつも誤解されるから、なにか共感できることがあるかもしれないと思って・・・。

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たとえ世の中の人全員を敵にまわしても自分の信じた道を貫くことの潔さ。
なんだか自分を抱きしめて貰ったような気がして少し嬉しかった。
ラストがよくわからなかったのは、きっと「オズの魔法使い」を見ていないからだと思う。
それでさっそくアマゾンで「オズの魔法使い」を購入(^_-)
「オズの魔法使い」を読んでからもう一度見に行こうと思う。

「ここは折れた方が丸く収まる」ということがわかっていても、
どうしても譲れないときがある。
そんな自分が愛おしくもあり、「バカだ」と思うこともあり・・・
「ウィキッド」を見て、やはり自分をごまかさない生き方がいい!と思った。
たとえそれで破滅したとしてもね。

ミュージカルなので、音楽にも注目。
FMの仲良しスタッフが劇団四季キャスト盤CDを貸してくれた。
聴けば聴くほど素晴らしい音楽だと思う。
ポジティブで強い曲が多く、つい口ずさんでしまう♪

舞台装置はダイナミックで、衣装は美しく、特にエメラルドシティのシーンでの
「グリーン」が圧倒的!緑色のメガネ・・・欲しい!と思った~。
そうそう・・・主人公の悪い魔女・エルファバは生まれつき緑色の肌なのだ。
そのせいでコンプレックスがあり、周囲からも好奇の目で見られてしまう。
そのうえ正義感が強く気性が激しいから、オズの大王にも正面からぶつかってしまう。
大王に刃向かったために「悪い魔女」と呼ばれ影の存在となってしまう。
でも・・・善い魔女・グリンダのように自分を殺して上手く立ち回るよりは
みんなから石を投げられても自分らしく生きる方が楽なのよね~。

・・・まるで職場での私のよう(笑)

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by anuenue_tara | 2009-10-11 21:38 | IMPRESSION☆感動

ミュージカル「アイーダ」

食わず嫌い・・・だった「アイーダ」。
どうも小説も映画も舞台も、テーマが「ラブストリー」だけ、
というのは苦手で避けていた。
ところが、FMでインタビューをすることになり連休の最終日の今日、
梅田芸術劇場に見に行ってきた。
やはり、ストーリーは「愛」。でもなんだかそれだけじゃ物足りない。
インタビューの相手は、王女アムネリス役のANZAさん。
そのせいかどうも私の視線はアイーダよりアムネリスに行ってしまう。
・・・で、このブログではアムネリスを主人公にしてしまおう~006.gif

アムネリスはエジプトの戦士ラダメスに好意を抱いている。
ラダメスは強くてたくましく、誠実で、しかも格好いい!
ところがラダメスは敵国エチオピアから捕虜として連れてきたアイーダに
好意を抱いているようだ。アイーダは敵国エチオピアの王女。
そんな相手にラダメスを取られてはならない。
なぜなら、アムネリスは強い男と結婚してエジプトを
背負っていかなければならないのだ。
その強い男とは、ラダメス以外にあり得ない。
アムネリスはあることを仕掛けて二人の気持ちを確認する。
思った通り、ラダメスとアイーダは愛し合っている・・・愕然とするアムネリス。

一方、ラダメスとアイーダは駆け落ちを企てる。
1年に一度、ファラオ(エジプト王)が兵士の警護なしで過ごす夜がある、
その夜に二人で逃げようとラダメスはアイーダに言うのだ。
決心したアイーダは、その「ファラオが一人になる夜」を
父であるエチオピア王に漏らす。
そして、その夜は訪れ、ファラオは暗殺され、アイーダは祖国に連れ戻され、
ラダメスは・・・裏切り者として囚われる。
そしてアムネリスはファラオとなり再びエチオピアを叩きのめす。

戦いは終わり、アムネリスは愛するラダメスを
「裏切り者」として処刑しなければならない。
一人の男を愛することをあきらめてアムネリスはファラオとして決断する。
生きたまま地下に放り込まれるラダメス。
そしてラダメスを追って地下に入っていくアイーダ・・・
二人は永遠の愛を手に入れ、アムネリスは毅然とファラオを続ける~。


なんて格好いいの~アムネリス!
やはり、凛とした人間は格好いいではないか017.gif
私はアイーダよりアムネリスが好きだ。(ひねくれてる?)

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by anuenue_tara | 2009-09-23 22:24 | IMPRESSION☆感動