ためらいがちな真珠あるいは虹の橋のタラ

「按針~イングリッシュサムライ~」

日英共同プロジェクト「按針~イングリッシュサムライ~」
1月22日から31日まで シアタードラマシティで上演中

シェイクスピアの時代のイギリスと、徳川家康の時代の日本を股にかけた
ウィリアム・アダムス(日本名を三浦按針)はイギリス人の船乗り。
のちに日本史上ただ一人の青い目のサムライとなる。
その激動の人生と徳川家康・宣教師・戦国武将たち・外国人商人たちが織りなす
大歴史劇・・・

~ストーリー~
エリザベス女王の時代、イギリス人船乗りのウィリアム・アダムスは
オランダの船リーフデ号で嵐に見舞われ日本に漂着。
彼の乗っていたリーフデ号という船には大砲や鉄砲などの武器が大量に積み込まれていた。

その頃、日本は戦国時代の終わり。
豊臣秀吉が亡くなり、徳川家康の力がぐんぐん大きくなっていた頃。
家康は漂着したアダムス達外国人を生かすも殺すも自由自在。
通訳を通してアダムス達が敵か敵ではないのかを判断するわけだが、
その通訳とは・・日本でキリスト教の布教活動をしている
スペイン・ポルトガルのイエズス会の宣教師達。
その頃のイギリス・オランダとスペイン・ポルトガルというのは
同じキリスト教でもプロテスタントとカトリックという宗派の違いからいがみ合っていたので、
イエズス会の宣教師達は邪魔なアダムス達が処刑されるようでたらめの通訳をする。
ところがそのイエズス会には日本人の宣教師ドメニコという人がいて、
家康の前で正確に通訳をし、アダムス達の命は助かる。

そして家康は、そのアダムス達の船に積まれていた武器を使って
関ヶ原の戦いで勝利し天下人となる。
天下人となったその後も家康はアダムスを側から離さず、
算術や天文学など西洋の学問の吸収に励んでいく。
というのも家康は生まれてから一度も日本から出たことがなく世界を知らなかったから・・・


一方、アダムスも日本人宣教師のドメニコの助けを借りて日本の文化を学ぶが
やはりイギリスへの望郷の念は絶ちがたい。
何故なら・・・母国のイギリスに妻や子どもを残してきているから。

しかし、家康はアダムスの帰国を許可しないばかりか、日本での妻をめとることを命じ、
三浦地方(現在の横須賀)の領地を与え「三浦按針」という日本名も与え、
アダムスは史上初の青い目のサムライとなる。按針というのは船乗りという意味がある。

そして按針(アダムス)が日本に漂着してから10年以上の月日が流れ、
彼には妻と二人の子どもという日本での家族ができていた。
そんなある日、日本にイギリスからの商船が到着。
按針(アダムス)が祖国イギリスに帰れるチャンスがきた!

その頃の家康は、豊臣家を壊滅させ、将軍の座を息子の秀忠に譲り、
穏やかに余生を送りつつあり、アダムスに「帰国しても良い」と言う。

さて、按針はイギリスに帰ることになるのか・・・・

見どころは何と言っても、主役の按針(ウィリアム・アダムス)を
トニー賞の授賞経験もあるイギリスの一流俳優が演じていることと、
その他何人ものイギリス人俳優が参加していて、
そしてその舞台は日本語と英語が飛び交うリアルな空間・・・ということ。
特に、通訳を通して話をすることのもどかしさ、言葉が通じないことへの不安と絶望など、
とてもリアルに感じた。
これは、日本人が金髪のカツラをかぶって演じるのでは感じられないリアル感。

さて、英語のわかるお客さんはいいが、私のように英語がチンプンカンプンの人には・・・・
「字幕」があるので、どうぞご安心を~。

そのトニー賞受賞経験もあるという、按針役のオーウェン・ティール、
演技はもちろん素晴らしく、日本に漂着したときのパニック状態から、
家康に寵愛されてだんだん青い目の侍として日本人らしくなっていく過程を
見事に演じている。
そして、その姿が格好いい!癖のある髪をまとめて、袴姿で刀を腰に差し、
最初の頃は女性のように横座りしていたのが、
最後にはきれいなお辞儀ができるようになっていく。
特に感動したのは、イギリスの船がやってきて、
自分も母国に帰ることができるかもしれないという時、
そのやってきたイギリス人達と会う場面では、
「あ・・この人はもう完璧な日本人になってしまった」と感じさせられること。
この瞬間に観客には結末が見えると思う。


このお芝居に流れているもののひとつに、「孤独」というものがある。
戦国時代を勝ち抜き、将軍となった家康の「孤独」・・・
幼い頃から人質に取られたり、戦国の時代を生き抜くために我が子を切腹させたり、
戦国大名達を裏切ったり裏切られたり・・という背景が晩年の家康に大きな孤独をもたらし、
またその家康に寵愛された按針にも、見知らぬ国での孤独、
イギリス人でもない日本人でもない「自分は何ものなのか」という孤独、
そして家康の死後、一人残された孤独・・・がひしひしと感じられます。


そして、私の個人的「鼻ツーン」場面。
豊臣秀頼の息子国松に家康が諭すシーン。これは鼻にツーン・・泣きそうになった。
「おまえは素晴らしい子どもだが、豊臣という名がこの世にあると
また日本はその名前を利用して戦を起こす奴が現れる。
日本の平和のために立派に死んでくれ」と手を取ってさとす・・・
国松というのは豊臣秀吉の孫でもあるが家康のひ孫でもある。
幼い国松は家康の話をしっかり理解して見事に処刑される・・
・平和を願う家康の辛い心と国松のけなげな姿に感動。

今年も年始から素敵な舞台に出会えてしあわせ~☆

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by anuenue_tara | 2010-01-23 16:01 | IMPRESSION☆感動
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